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水槽と照明 その8 LED照明の光合成光量子束密度(PPFD) 

このところアクアリウム用に限らず,照明業界全体がLED照明に力を
入れていて,CMもよく見かけます.
LED自体は,表示灯などに古くから用いられてきていますが,
本格的に照明用途として販売されるようになったのはここ最近です.

LEDのその原理から,本来は照明用途としてはあまり適していない
デバイスですが,売る側の強力な意思によって,照明市場もここ数年で
目回しく変化し,蛍光灯も駆逐されて行きそうな勢いです.

液晶ディスプレイのバックライトとして使われて始めていることもあって,
さらに,LEDの半導体プロセス自体の難易度はそう高くないことも相まって,
台湾や中国のメーカが多数参入し,玉石混淆,その品質も様々のようです.

このように供給する側が熱心であると,商品が良い,悪い関係なしに
力技で普及してしまうでしょう.
ちょうど,エラー出まくりのWindowsや,原理的に動画再生に適していない液晶TVなどが
普及してしまうのと同じ状況なのではと思います.



すでに多くのアクアリストの皆さんもLED照明を入手して,
独特の照明感を楽しんでいるようですが,へそくりも尽きた私には
手も出ませんので,机上の計算で,LED照明がどのくらいの
ものか,その光学的な特性を算出してみました.

LEDのあとにメタハラについても同様に算出した結果がありますので,
後の記事にして,LEDとメタハラの比較を数字の上で比較したいと
思います.

実はこういった計算は一年ほど前に記事にしていた,
水槽と照明 その4 メタハラの特性
で,スーパークールのデータを使い算出しようと考えていたのですが,
気が付いたら,あれから1年も経過してました(^^;


今回,LED照明のサンプルとして
ボルクスジャパン
の製品データを参照させて頂きました.

中でも,UV-LEDを搭載したものとして注目されている
GrassyLeDio9 Aqua400UV
にしました.

公開されているデータは次のものです.

Grassy LeDio9 Plus Aqua400UV
・LED構成:Blue X 3, White X 3, UV X 1
・消費電力:9W
・ビーム広がり角:50°
・照度 光源からの距離30cm:10430lx
          100cm:1038lx 
(以上,ボルクスジャパンWEBより)
・照度 光源からの距離50cm:4800lx
・全光束 :630lm
 (以上,ジュンコーポレーションWEBより)

さらに,
WEBに掲載されている分光スペクトルデータから読み取って,
自分でプロットしなおしてみました.
GrassyLeDio9_Aqua400UV_Spectrum_s.jpg

以上のデータから,全放射束(放射エネルギー)そして光合成光量子束密度を
計算で見積もってみようと思います.

水槽と照明 その4 メタハラの特性
の中にも書いていたのですが,照明器具の性能を示す値として,
用いられているルーメン(lm)やルクス(lx)は,人間の目の感度に
合わせた単位で人が感じる明るさ示す値です.
これはサンゴ,海草(海藻),水草が光合成を行うための
光の明るさ加減とは,必ずも一致しません.

光合成の研究分野では,光子(フォトン)の個数を数えて,
光の単位としています.
それが光合成光量子束密度(photosynthetic photon flux density,PPFD)です.
同義語として,光合成有効放射(Photosynthetically Active Radiation, PAR)
という用語もありますが,こちらはPPFDに対してもっと広い意味で用いられている
ようです.基本的には光合成に利用される400~700nmの光波長域の光強度のことですが,
PPFDでは,単位はmol・m^-2・s^-1であり,1平方メートルあたり,1秒あたりの光子の
数をその定義としてます.PARでも同じ単位で示すときもあったり,放射束(W/m^2)の
ときもあったり,要は400~700nmの光の強さの示す用語のようです.

このあたりの光合成に関することについては,
光合成の森
が分かりやすくてかなりお勧めです.
早稲田大学の先生のHPです.ぜひ一度訪問されてください.


前置きがかなり長くなりましたが,ようやく本題です(^^

PPFDは単位面積当たりの光子の数を示すので,まずはこの
LED照明の配光特性の情報が必要なのですが,残念ながら
配光特性は公開されていません.
そこで,公開されているデータから推測します.

全光束630lmと距離50cmのときの照度4800lxから,
距離50cmの照射面積を推測します.

照度(lx) = 全光束(lm) / 面積(m^2)

から,
630(lm) / 4800(lx) = 0.1313(m^2)

照射される光の配光パターン形状は円形として,

面積A = π * 直径D^2 / 4

直径D = ( 4 * 面積 / π )^(1/2)

から 直径 D = 40.9cm

LED配光50cm基準_s

次に,距離30cmと距離100cmでは照度が1/10なので
面積はその逆数で10倍.

距離30cmと距離100cmでそれぞれ面積を1と10と設定して,
直径を算出すると,それぞれ1.31と3.57
距離50cmでは相似則から1.83と,それぞれの距離での
照射される円の直径の比率が求まり,

LED配光_相似則_s

先に算出した距離50cmのときの直径40.9cmを使って
距離30cmと100cmの直径を求め,さらに面積を算出しました.
LED配光_3050100cm_s

仕様ではビーム広がり角が50°とありますが,光学のルールでは
ビーム広がり角は半値全角(full width half maximun, FWHM)で定義される
ので,50°で強度半分になり,求めた面積は50°より内側に収まるため,
推測から得た配光特性としてはそれなりの結果が得られていると考えられます.

配光特性は円の中心部が光強度が強い傾向になりますが,ここでは
照射円内の平均値として計算を進めることになります.

配光特性がおおよそ見当がついたので,今度は
ルーメン,ルクスで示されている光の単位を
PPFDに変換するために光スペクトル特性を使って,まずは放射束(エネルギー)
に変換して,さらに光子の数に変換する作業を行います.

ここから先は計算ソフトを使います.

ルーメン,ルクスは比視感度特性を使って光の強度が補正させているので,
逆に比視感度特性をもとに放射束に戻します.
ここでは三刺激値という人間が感じている3つの光の波長分布からなる
三色のうち青い破線の曲線が比視感度特性そのものなので,
その波長特性を用います.
PPFD_p1s.jpg

比視感度特性をLEDの波長分布に掛け合わせて,
PPFD_p2s.jpg

PPFD_p3s.jpg

PPFD_p4s.jpg
と,ようやく放射束(W)に変換されました.


PPFD_p5s.jpg

放射束を波長毎の光子エネルギーから光子数を求めます.
PPFD_p6s.jpg

ようやくPPFDが求まりました.
ここではまだ面積は不定なので,1秒あたりの光量子束の総和を示しています.
かなり端折った説明になってしまいました.
もし興味がある方がおられましたら,もっと丁寧に書こうかと思います(^^

PPFD_p7s.jpg
PPFDは400~700nmの光合成に利用される波長域の光子の数であると
言ってきましたが,光合成の反応を行うクロロフィルは特に青色と
赤色の光波長をよく吸収して,緑色や黄色は吸収率が低いことから,
420~480nmと620nm~670nmの波長域に限定してPAR波長域と定義して
PPFDを測定するやり方もあるようなので,そのケースも計算して
PAR_Chlorophyとして示してあります.

以下,算出結果です.
LED配光_PPFD_s

result_PPFD.jpg

後の記事でメタハラ(スーパークール)も同様に算出して,
それとの比較を行おうと考えています.

ところで,このGrassy LeDio9 Plus Aqua400UVですが,
UV-LEDのチップが搭載されていることが特徴とされてます.
可視光は380nm~800nmとか400nm~780nmといわれており,それによって
UV(紫外線域)も400nm以下とか380nm以下となる訳ですが,このLED照明のUVと
呼ばれている光波長のピークは410nmあたりにあり,これをUVと
呼ぶのは少々無理があるのではないかと思います.
分野によって波長域の定義も多少異なるのですが,この場合では,
せめて近紫外線と呼ぶほうが良いのではないのかと,少し感じました.

あっ,決して悪気はありません(^^



読み返すと,長すぎ,説明不足その他諸々感じますので,
この記事,後で修正するかもしれません.

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ジャンル:ペット

この記事に対するコメント

久々に出ましたね。
ハナアレジー講座w

でも、光合成光量子束密度・・・??
全然分かりません^^;
【2010/06/02 18:44】
URL | ヒゲオヤジ #- *編集*

ほんと、LEDスゴイっすね。
商業施設でも、HID照明かと思えばLEDだったり…
私も、アクア用の青球が欲しいんですけど、なかなか手が出ません!

今回の計算もブラボーでしね
オイラには全然わかりません!⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ドテッ
【2010/06/02 23:31】
URL | でめきん #SFo5/nok *編集*

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2010/06/07 12:30】
| # *編集*

はじめました?
数字がいっぱいであたまがスポンジだよー
・・・ほんとこーいうデータをメーカーが出してくれればいいんでしょうけどねーチェック不足なだけかもしれませんがー
UV LEDもこないだ研究成果が発表されてた気がするので既存のやつはあまり意味がないのでは?と思ってました。
LEDもカラーフィルターやらレンズやらで種類もたくさんなのにね!
海水やってませんがいつも参考にさせていただいてます
【2010/06/08 17:43】
URL | e #EBUSheBA *編集*

ヒゲオヤジさん

財政難で工作の資金繰りに困ってネタなしなので,
お金の掛からないネタでしばらく繋ぎますw

もし興味が沸いたら,本文内で紹介している
「光合成の森」行ってみるとよいですよ~
【2010/06/08 22:39】
URL | ハナアレジー #SFo5/nok *編集*

でめきんさん

計算は書き殴りなのでこれじゃ良く分からないと,
自分でも思います(^^;

LED,ほんとよく見かけるようになりました.
家電メーカで青球のものも出してくれると,値段も
信頼性も安心できるのですけどね(^^
青球なんてアクアのしかも海水水槽くらいしかニーズがないので,
無理でしょうけどw
【2010/06/08 22:49】
URL | ハナアレジー #SFo5/nok *編集*

鍵コメさん

コメントありがとうございます.

そこまで,ご理解されているのでしたら,すでにお判りだと思いますけど(^^

PPFDはフォトンの数で定義されているので,V’(λ)は考慮されないです.
光の波長によってフォトンエネルギが異なるので,光をエネルギで測定した値を
PPFDに変換する場合には,光波長毎にフォトン・エネルギで割り算するので,
フォトン・エネルギの低い長波長域ではフォトンの数が増大するような
右肩上がりの傾向になるかと思います.

V’(λ)もしかして,下記のリンクにあるような光合成作用曲線の事を
言われているのでしょうか??
http://www.iwasaki.co.jp/product/applied_optics_field/plant_raising_system/plant-factory01_3.html

もしかしたら農学の分野では,この曲線を考慮した単位があるのかも知れないですが,
PPFDでは,ここまでは考慮していないです.

私も,PPFDがこのような光合成作用曲線まで考慮されるべきだと
思っていました.

私の勘違いでしたら,またコメントください.

一応,後で,放射束からPPFDへの変換の過程をもう少し詳しく
書き直してみます.
【2010/06/08 23:14】
URL | ハナアレジー #SFo5/nok *編集*

eさん

はじめまして?
訪問,コメントありがとうございます.
不利なデータもあるので,すべてをさらけ出したくないのでしょうね(^^
ま,これは世の中のあらゆる製品でよくあることだと思います.

紫外線のLEDは発展途上の最中ですから日進月歩ですよね.
工業用途だと,こんなのがありますね.
http://www.epitex.com/products/others/pdfs/P375-7722B.pdf
【2010/06/08 23:29】
URL | ハナアレジー #SFo5/nok *編集*

管理人様
ご回答有り難うございます。詳細な計算はのちほど確認します。
やはり、光合成作用曲線は考慮されていないのですか。
PPFD測定器は光量子感度にそって表示されると理解したほうがよさそうですね。
PS、管理人様は大変詳しくて頭が下がります。植物育成の専門家か何かなのでしょうか??
【2010/06/10 13:19】
URL | よいこ #- *編集*

まだ見て頂けているか分かりませんが,
計算過程を載せて見ました.
遅くなってスイマセン.
PPFDはおっしゃるとおりだと思います.

PS,植物育成などという高貴な職ではありません.
   むしろ環境破壊に加担する側の仕事をしています(笑).
【2010/06/16 23:35】
URL | ハナアレジー #SFo5/nok *編集*

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