あやしい水槽

海水魚 サンゴ 海藻  あやしい記事とピンボケ写真.そして誤字脱字...

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水槽と照明 その15 太陽光のスペクトル 

これまで,水槽中の光の振舞いや照明器具の照度など,
水槽環境内の照明について検討してきました.
この照明ネタを扱う目的の一つとしては,サンゴを飼育するには
どのくらいの光の強度とスペクトル分布が必要なのかを
定量的に明らかにすることと考えています.

サンゴ飼育に必要な光の特性を求めるための手法として,
実際飼育している水槽環境で光の強度とスペクトルをダイレクトに
測定するといったアプローチと,もう一つは,実際にサンゴが
生育している海域の光を調べるといったアプローチも考えられます.

そこで,サンゴ礁の海中の光特性を調べるために文献など
調べていて,光の強度のデータが記載されている文献もちょくちょく
見つけたりはしていたのですが,特定の深度のPPFD(光合成光量子束密度,PAR)
や1日の平均のPPFDや放射照度だったりで,断片的なデータしか
探しだすことしかできていませんでした.

そうこうしている時,下記のように太陽光の詳細な分光スペクトルの
データを見つけました.この太陽光のスペクトルデータと海水の
吸収係数から海中のスペクトルが計算できますので,
強引に海水中の深度毎の光強度とスペクトルを算出してみようと思います.


1.太陽光のスペクトル
NRELという米国の国立研究所のサイトで,
NREL(National Renewable Energy Laboratory)
太陽光の光スペクトルのexcelデータがダウンロードできます.
Reference Solar Spectral Irradiance: ASTM G-173

近年普及めざましい太陽電池の評価をするために,日射条件の基準として
地表上の光スペクトル分布とその光強度が定められています.
この日射条件はエアマス(AM)と呼ばれ,地球の大気圏外の
光スペクトル分布をAM0,赤道上の地表面での光スペクトルを
AM1,天頂角41.8°での光スペクトル分布をAM1.5としています.
この1.5というのは大気中を光が通る距離を表していて,
赤道上の太陽光が進む距離を基準(1)として,1.5倍の距離で
あることを示しています.

太陽電池の評価の基準とされているのは専らAM1.5で,緯度でいうと
ちょうど日本付近に相当するそうです.

主にサンゴは熱帯に生息していることから,赤道付近の太陽光のスペクトルが
欲しいところですので,AM1.0のデータが入手できたら,都度更新してゆく
つもりです.
AM1.0では大気中を透過する距離がすくないことから,レーリー散乱による
短波長(青色)の散乱が少ないので,AM1.5より短波長域の成分が
多いはずです.またAM1.5より絶対強度そのものも強いはずです.

とりあえず今回はAM1.5のデータを使って検討を進めます.
次のグラフはAM1.5のスペクトルデータです.

光は300nmから4μmまで分布しています.
縦軸は分光放射照度を示していて,1平方メートル辺りの放射強度(W)です.
波長(横軸)で積分するとそのまま放射照度となります.
横軸全域で積分したら1000W/m^2になります.
このグラフのうち,可視光(380~780nm)はちょうどピーク値の辺りです.
可視光の波長領域に限定して積分すると540W/m^2になりました.

2.太陽光の変動と損失
海水中へ太陽光がどれくらい達するか算出するために,
簡単な計算モデルを考える必要があります.
下図に太陽光が海中深くに到達するまでの光の変動や損失の
要因を書き出してみました.
SkyAndSea_20100907220707.jpg
(1)大気中
太陽光が海面へ到達するまでの吸収や散乱はAM1.5のスペクトルデータで
考慮されていますが,季節による天頂角の変化や時刻(日の出から日の入りまで)
によってスペクトルデータは大きく変化します.
AM1.5はAM11時前とPM1時を過ぎた辺りのスペクトルデータのようです.
もちろん台風などの悪天候によっても大きく変化されられるでしょう.

(2)海面の界面
空気中から海中へ光が入射するときには,空気の屈折率(約1)と
海水の屈折率(約1.33)の屈折率差から界面が生じます.
可視光域ではそれぞれの屈折率は大体同じなので,波長によらず
約2%の反射が生じます.光の入射角が大きくなれば反射率も上昇します.
過去にこちらの記事で
水槽と照明 その2 光線追跡
入射角による反射率と透過率の依存性を計算したことがあります.

しかし,実際の海面では絶えず波によって,見かけ上の入射角の
変動や,波で海面が曲率をもつことによってレンズ効果により
集光や発散が起こります.
この波により海中の光強度は常に変化し続けている状態にあります.

(3)海水中
こちらも以前の記事で
水槽と照明 その1 海水の光の吸収
取り上げましたように,水分子やプランクトンによって吸収や散乱が
発生します.これらの吸収や散乱を吸収係数として一つの光学定数で
表すことができます.
もちろん吸収係数は海域によって大きく異なります.

今回は,下のグラフのoceanicの吸収係数を使って検討を進めます.
海水の吸収係数
海水の吸収係数は400から670nmの範囲でしかデータがありませんので,
以下の検討では400nm以下と670nm以上では予測で線を延長して計算に用いています.

こちらのグラフは,
航空機リモートセンシングによるサンゴ白化分布域の調査法に関する研究
を参照させて頂きました.


3.可視光域の太陽光のスペクトル
先に載せた太陽光のスペクトルを可視光の範囲で表示させました.
太陽光と色温度
日中の地表での色温度は5500K~6500Kとされてます.
同時に5500Kと6500Kの色温度のスペクトルもグラフに記載してみました.
グラフで比較してみると5500Kと傾向がほぼ一致しているようです.
6500Kは大気中でレーリー散乱で生じた青い光を含めて感じられる
色温度のようです.


4.海中の光透過率
海水の吸収係数(oceanic)を使って海水中の深度毎の透過スペクトルを
算出してみました.海面の反射率は波がないものとして2%の反射のみを
考慮してあります.
海水中の光の透過率


※ ランベルト・ベールの法則で求めました 

とりあえず深度50cmから50mまでグラフに掲載してあります.
実際のサンゴ礁の水深はどのくらいなのでしょうか?
浅場で2-3m,深場で10-20mでしょうか??
5mくらいの深さになるとかなりスペクトルの幅が限定されています.
500nmあたりの吸収係数が一番小さいことから,
深度が深くなると500nmあたりの光が突出したスペクトル分布になります.

5.海中の放射照度
次に,放射照度を計算してみました.
海水中の光強度

こちらもやはり吸収係数によって深度が深くなると500nm
あたりの光が突出したスペクトル分布となります.
縦軸は波長あたりの放射照度なので,ここから照度(Lux)や
PPFD(光合成光量子束密度,PAR) を算出することが
可能です.
各深度毎のスペクトルを規格化することで,光スペクトル分布が
分かりやすくなので,次の記事でその辺りを試してみようと思います.



ということで,今後の予定です.
・海中の深度毎の光スペクトル分布,照度,PPFD(光合成光量子束密度)の導出
・1日(日の出から日の入りまえ)の放射照度とスペクトルの変化
・AM1.0(赤道上)のスペクトルデータでの検討
・海面の波浪による光の透過率の影響
などなど.


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水槽と照明 その14 色温度(後編)
水槽と照明 その13 色温度(前編)
水槽と照明 その12 メタハラとLEDの比較
水槽と照明 その11 メタハラとLEDの色度
水槽と照明 その10 光合成光量子束密度(PPFD) の単位変換
水槽と照明 その9 光源色の可視化
水槽と照明 その8 LED照明の光合成光量子束密度(PPFD)
水槽と照明 その7 事例(4)
水槽と照明 その7 事例(3)
水槽と照明 その7 事例(2)
水槽と照明 その7 事例(1)
水槽と照明 その6 側面ガラスの反射光
水槽と照明 その5 蛍光灯照明のモデリング
水槽と照明 その4 メタハラの特性
水槽と照明 その3 ガラス蓋と光損失
水槽と照明 その2 光線追跡
水槽と照明 その1 海水の光の吸収
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